ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

「普通の人の普通の感覚」

昨日のオーストラリアのアイダさんとのメール交流については(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161110)、もう一往復、重要な件があるのだが、今日は時間の都合で後日に回すことにして、今日は、関連性はあるが別件の転写資料で簡潔に。
1.池内恵氏のフェイスブックhttps://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi?fref=nf&pnref=story)上の紹介によって知った論考文の抜粋。

Satoshi Ikeuchi "アメリカの「普通の人の普通の感覚」の良い部分を言葉にすることが得意な人だと思う。平易な言葉で、情感に溢れ、シンプルな筋の通った議論をする。ワシントンのエリートとは育ちが異なる。"


Satoshi Ikeuchi "この人はトランプ支持を表明した人ではなかったと思うが、迷った上でトランプに票を投じる、ヒラリーにはどうしても違和感を感じるタイプのアメリカの国民の一定の層を、表現していると思う。"


Satoshi Ikeuchi 【社会の頂点に立つ人々の生活は何も変わらない。さまざまな文化を融合させ、毎日のように起きるいさかいを乗り越え、犯罪や過激主義、街で起きている恐ろしい出来事に対処するという難題を押し付けられたのは、ほとんど何も持たない人々――私は「保護されていない人々」と呼んでいる――である。】


Satoshi Ikeuchi このようなcompassionateな文章を書けるリベラルがいなくなったことが、リベラル派凋落の原因であろうとは思う。リベラルも左翼も、思想は「飯の種」でしかないということを、庶民から見透かされている



http://jp.wsj.com/articles/SB10153442616204504109704582252161311243018


「同胞を見捨てる世界のエリート」
PEGGY NOONAN
・筆者のペギー・ヌーナンはWSJ週末版の定期的寄稿者。著作も多く、レーガン元大統領のスピーチライターを務めた経歴を持つ
2016 年 8 月 15 日


メルケル氏は理想を追い求めて行動しているのではないかと。ルター派の牧師の娘で、東ドイツで育ったメルケルは、社会から排斥され、行き場がないと感じる人々にもともと同情的だったのだろう。それだけではない。21世紀となった今、メルケル氏はドイツが20世紀に犯した大罪に対して一つの答えを示そうとしている。ナチズムや少数派の殺害・虐待を許し、歴史に汚点を残したドイツが寄る辺なき人々を温かく迎え入れて道徳的な勝利を達成する


・いずれの問題についても権力の座にある人間が心配している様子はない。労働者階級や中産階級がショックを受けて憤り、反発すると、頂点に立つ人々は彼らを「外国人嫌い」「偏狭」「人種差別主義者」というレッテルを貼った。一方、決断は下すが、その代償は一切引き受けない、社会から隔絶された人々は「人道主義者」「思いやりがある」「人権のヒーロー」と言われた。


・こうした現象は西側の権力の中枢全体に広がっている。問題の根本は社会の頂点に立つ人々が同胞、すなわち政策決定の場にいない人々、自己中心的で善人を装う指導者に見捨てられたことを理解している人々の生活から切り離され、関心すら失っていることだ。


・マンハッタンでは、世界中から集まったビジネスエリートの子女が仲間内で結婚し、ロンドンやニューヨーク、ムンバイに落ち着く。エリートたちは子どもを同じ学校に通わせ、階級の違いを見逃さない。ムンバイやマンハッタンのエリートがそれぞれの国の底辺で暮らす、必死に生きるがさつな人々に共感することはめったにない。こうした人々に結びつきを感じることもなければ彼らに対して責任を感じることもない。実際、エリートたちは底辺の人々を恐れており、自国ではあれこれ工夫を凝らして自分たちの富や世俗的な成功をあまり知られないようにしている。

(部分抜粋引用終)
パイピシュ先生のレジスタンス運動は(http://ja.danielpipes.org/article/15266)(http://ja.danielpipes.org/article/16585)(http://ja.danielpipes.org/article/16616)(http://ja.danielpipes.org/article/16838)(http://ja.danielpipes.org/blog/16839)(http://ja.danielpipes.org/article/16884)(http://ja.danielpipes.org/article/16954)(http://www.danielpipes.org/17016/what-a-conservative-to-do-vote-for-pence)(http://www.danielpipes.org/17063/does-nevertrump-still-hold)(http://www.danielpipes.org/17066/americas-know-nothing-middle-east-diplomacy)、結局のところ、ここにある。
10月1日の夜、ストックホルムのホテルのロビーで、ご著書にサインをいただくためにお部屋から降りて来ていただいて、二人で一時間ほどお話していた時のこと(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161028)、私が「あんなに共和党員として一生懸命に活動されていたのに、辞めてしまうなんて....」と言ったら、「(共和党執行部に対して)レジスタンスを示すためだ」とおっしゃった。
大統領選については、「がっかりしました」「クリントン氏が大統領だった時、日本に対して冷たかったので、クリントン夫人が大統領になられたら、私達に何が起こるのか、怖いです」「トランプ氏については、一連の発言によって、日米間の政治記録を壊してしまいました。米軍によって保護してもらう代わりに、日本の経済力が米国社会を支えていた側面があったのに、それをわかっていない人々がいるのです」と、私は述べた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161016)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161027)。
パイピシュ先生は、うんうんと頷いて同意されながら、「日本が憲法を変えることに、僕は反対していない」「この大統領選で、日米同盟が終わるのではないよ」ともおっしゃった。
「ですけど、昔、テレビ番組で、日本について間違ったことおっしゃっていたじゃないですか?アメリカが民主主義を日本に教えたから、戦後の日本はうまくいった。だから、イラクにもそうするんだって(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140704)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160718)」と踏み込むと、「人は発言が常に正しくなければならない、ということはない」と、相変わらずの減らず口。「あれはね、イラクに投資するという目的での発言だったんだよ」。
投資ねぇ...。一言、「間違っていた、ごめん」と言えば済むのに、立場上、言えないし、性格上、絶対に言わないんですよね(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130311)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131124)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150122)。この辺りは、国情と人柄の違いということで.....。
アメリカ合衆国は、若い国です。日本はそれよりも古くから存続してきました。西洋式のデモクラシーではないですし、ムスリムが時々主張するような民主制でもないですけど、日本には、古来から民主主義というものがありましたよ。ディベート文化ではなく、ディスカッション文化なんです。常に話し合って物事を決めてきたんです。これを私はイデオロギーから言っているのではありません。古い文学を読んでいると、自然にそれがわかります。それなのに、若いアメリカが古い日本に対して、自分達がデモクラシーを教えたからうまくいっただなんて....」と、言葉を選びながら、私はゆっくり言った。パイピシュ先生は、ただニコッと笑っていただけだった。国を超えて、人と人としての交流が大事な次元で存することを実感した瞬間だった。
ともかく、パイピシュ先生もエリート層なんだけど、エスタブリッシュメントが一般の人々の気持ちをわかっていないことに途中で気づいて、大衆を動員する方向に変化してきたってこと。
わかった?
2.ユネスコに対する日本の態度の揺らぎ

『日経』(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG04H1Y_U6A200C1000000/


世界遺産、長崎教会群の推薦取り下げへ 諮問機関指摘で政府」
2016年2月4日


政府が今年夏の世界文化遺産登録を目指している「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎、熊本県)について、政府関係者は4日、推薦をいったん取り下げる方向で最終調整していることを明らかにした。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関から不備を指摘されたため。政府は現状のままでは登録は難しいと判断、来週にも閣議で取り下げを了解する。政府関係者は「課題解消に時間がかかり、今夏の登録審査に手続きが間に合わない可能性がある」としている。


 不備の指摘を受けたのは1月中旬。政府関係者によると、ユネスコ諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)から「潜在的な普遍的価値は認めるが、個別の構成資産が果たす役割の説明が不十分だ。このままでは審査前に登録延期勧告が出る可能性がある」との内容だった。推薦書の見直し作業が長期化する可能性もあるという。


 教会群は、日本にキリスト教が伝来して以来、約250年にわたり弾圧を受けながらひそかに信仰を守り抜き、復活した歴史をたどる。現存する国内最古の教会で国宝の大浦天主堂長崎市、禁教下の信仰を伝える天草の崎津集落熊本県天草市)など14の資産で構成する。


 政府は昨年1月、ユネスコ本部に正式な推薦書を提出し、イコモスは昨年9〜10月、専門家による現地調査を実施。今年5月ごろに評価結果をユネスコに勧告し、7月の世界遺産委員会で登録の可否が審査される予定だった。〔共同〕

(転載終)
主人と長崎へ初めて旅行した4年前(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120729)、「ユネスコへ長崎の教会群を世界遺産に申請しよう」という垂れ幕を、バスの中から確かに見かけた。長崎の独特のカトリック文化は、日本史の一部として極めて重要であり、原爆を投下された地としても、「是非とも世界遺産に」という意気込みと目的は、充分に理解できる。
但し、現在のユネスコは、いわゆる日本の利益に反するような左翼的活動のみならず、イスラエルに対しても考古学的な調査に反するようなことをしてきた経緯があるため(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20111101)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130417)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20151016)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160301)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160510)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160803)、資金拠出もままならぬ、という現状にあって、本当にユネスコに認めてもらうことがいいのかどうかは、よく検討する必要があるかと思う。どこかの国の誰かが、日本独自の歴史遺産を僻み、変な進言をして、申請や認定調査を歪めることもあり得るからだ。
もう一点、世界遺産に認定された京都の銀閣寺など(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140514)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140515)、昔の方が、侘び寂びの趣があって静かだったのに、ということもある。認定されたばかりに世界中から観光客が訪れて、せっかくの遺産にも平気で汚れた手で触ったり、写真を撮るべきではないところでピースマークをしていたりする、うるさい外国人が増えたからだ。