ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

欧州旅行から帰りました

(https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi?fref=pb&hc_location=profile_browser)


21 September 2016


・「25%なら少ない」という議論は、イスラーム教の動員構造をわかっていない。人間の間の議論で多数決を取って「何がイスラームか」を決めているわけではない。直接テキストや権威的解釈書に当たって、「神の命令」を判断して行動に出る
結果として過激な行動に出る人が1%でもいるだけで、社会・政治的に大きな問題を引き起こす
フランスの知識層は徹頭徹尾自由主義なので、人間がテキストに「支配された」かのように見える行動の存在を認識することも、認めることもできない。そのような思考法を日本で必死に内在化して議論しても、やはり何が問題なのかはわからない。...


・これかなり大きい数字です。シャリーアがフランスの法よりも上位にくるという言明は、イスラーム教徒にとって比喩や余興ではない。
この設問への回答のこの数値を、政治的に重大なものと感じ取れないフランス研究者は、フランス社会との関わり方を根本的に考え直したほうがいい。フランスのリベラルなインテリが、シャリーアの実効性を理解しえていないのは、ある意味でやむをえない。しかし日本からフランスに出向いてフランスの思想や社会を見る側が、フランスの知識人に課された制約からくる無理解をそのまま受け売りすることはない。「ムスリムは本当はイスラーム法を信じていないんだ!」と強弁することは、寛容性の発露でも理解の向上でもない

(部分抜粋引用終)
こういうことは、多分、池内先生だから皆が耳を傾けるのだろう。マレーシアを見ていればわかる。私自身も研究発表で過去に指摘したことがあり、某大学での授業で言ったこともある。ただ、「それがどうしたんですか」で握り潰された(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20101125)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20101126)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131002)。時間を返せ!

http://www.canon-igs.org/blog/security/2016/09/27_0900.html


2016年9月27日(火)


今週の原稿は出発直前のストックホルム空港のラウンジで書いている。今回はハンガリーからポーランドを経てスウェーデンを訪れた。今回も多くを学んだ出張となったが、最大の成果は、欧州の戦略家たちの考え方にはどうやら「大陸型」と「海洋型」の二種類があるらしいことが分かったことだろう。どういう意味か。


例えば、今回訪問した中東欧のハンガリーポーランドは典型的な大陸型、彼らは潜在的脅威と「陸の国境を共有するか否か」でその国の安全度を測る傾向があるように思えた。これに対し、英国などは典型的な海洋型で、欧州大陸だけでなく、ユーラシア大陸全体の勢力均衡についても、常に敏感なようである。


こうして考えてみると、今回最後に訪問したスウェーデンはその中間型で、大陸的要素と島国的要素を兼ね備えているようだスカンジナビア全体が巨大な半島であることに鑑みれば、なるほどそういうことなのか、と妙に合点が入った。やはり、疑問が生じたら、何度でも地図を見直すことが基本中の基本ということである。


更に痛感したことは、「バルト海世界」にスウェーデンデンマークフィンランドロシアバルト海三国、ポーランド、ドイツといった伝統的プレーヤーがおり、今もそのゲームが続いていることだ。ロシアのバルト海三国での影響力拡大に対抗し、スウェーデンがゴットランドという沖の島に軍隊を駐留させるという論理自体が新鮮だった。


〇欧州・ロシア
10月2日にハンガリーで難民受け入れに関する国民投票が行われるが、結果は今から見えている。質問内容が、「あなたは、EUハンガリー国会の承認なしに、非ハンガリー人のハンガリーへの強制的移住を定めることができることを望むか」なのだから、答えは否に決まっている。これが今のハンガリー民主主義の実態なのだ。

(無断転載終)

http://www.canon-igs.org/blog/security/2016/10/04_0900.html


2016年10月 4日(火)


先週末の10月2日、ハンガリーで難民受け入れに関する国民投票が行われた。前回本欄では、「結果は今から見えている」と書いたが、グッドニュースは、ハンガリー人たちが同国民主主義の良識を示したことだろう。不思議なことに有効投票は40%に止まり、国民投票が成立しなかったからだ。欧州の良識派にとっては救いだろう。


他方、バッドニュースは、実際に投票した有権者の98%が反対したことだ。前回も述べた通り、質問内容は、「あなたはEUハンガリー国会の承認なしに、非ハンガリー人のハンガリーへの強制的移住を定めることができることを望むか」だったから、答えは反対に決まっている。国民投票が成立しなかったのは不幸中の幸いという訳だ。


いずれにせよ、日本人の今週の関心は「誰がノーベル賞を取るか」であり、今頃は在スウェーデン日本大使館も大忙しのことと思う。そうこうしている内に、また一人、日本人が医学生理学賞を獲得したそうだ。それにしても、日本は何と平和な国なのか、日本にこそ、「ノーテンキ平和賞」を授与すべきではないかと思うほどだ。

(無断転載終)