ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

深遠な謀慮を

http://yoshiko-sakurai.jp/2016/01/02/6236


2016.01.02 (土)


「成功果たした中小企業の“親父”が教えるアジア諸国との上手な付き合い方」
週刊ダイヤモンド』 2015年12月26日・2016年1月2日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1114


・創業から70年、正社員59人、週4日で1日5時間勤務のパート社員45人の伊藤製作所が、日本的中小企業経営で世界に羽ばたいている。 
・同社は金型製造会社。代表取締役社長の伊藤澄夫氏は1995年にフィリピンのマニラに、2013年にインドネシアに進出。大成功の鍵は日本の中小企業の経営方式を大事にすること、その心は「会社は家族」。
・フィリピンもインドネシアもかつて日本軍が進出した国々。
・伊藤氏もこの歴史的背景、日本の敗戦直後、とりわけフィリピンには強い反日感情があったことを忘れてはならないと強調。それがいま、最も親日的な国になっていることに、日本人として感謝することの大切さ。
・著書『ニッポンのスゴい親父力経営』(日経BP社)。
・「400年以上にわたる植民地支配で虐げられた彼らには、優しいボスが必要なのだなと感じました」
・伊藤氏は「日本の親父」としての経営方式を確立。(1)社員全員が会社と仕事を愛し離職率が少ない、(2)チームワークが良く、後輩の指導が好き、(3)良い製品を作ることを生きがいにしている社員が圧倒的に多い、(4)日本刀、奈良の大仏様、ゼロ戦戦艦大和、新幹線などモノづくりへの誇りをしっかり持っている、(5)もったいないの精神を忘れない、である。
・伊藤氏は名古屋駅前の一流ホテルのスイートルームを確保し、一行の滞在費を全額負担。
「合弁を進めるなら相手の負担でよいが、お断りするのなら、相手に恥をかかせず、丁重に扱う。これが日本の中小企業の親父のやり方」。
日本人の誠実さと技術力、教え惜しみせず、共栄を喜びとする真の優しさ、これこそ中国が最も恐れる日本の強さであろう。

(部分抜粋引用終)

新年早々何だが、あまりにもアジア、特に東南アジアを知らない印象を与える自我中心の見方だ。特に、最後の一文が気になる。日本史を見れば、日本人の誰もが皆「誠実」で「共栄を喜び」とし「真の優しさ」を持っていたはずがないということは、明白だ。上記の会社の場合はうまくいった事例だが、私の知る1990年代のマレーシアでは、同じようにしても失敗した事例を幾つか見聞している。
なぜ、政府がバックアップしているはずの日本企業ではなく、欧米系の企業の方に優秀なマレーシア青年男女が就職したがるのか、ということは、門外漢の我々の観察課題でもあった。英国統治の賢明な謀慮には非常に深いものがあるというのが、私の結論だった。
また、東南アジアは、古代インドのサンスクリット文化を基調に、国境を超えて華人文明も広く浸透しており、モザイクの万華鏡のように色彩豊かな民族模様が存在する柔構造の地域である。ある面、人々は非常にしたたかであり、日本の美徳が通じるはずだと考えるのは、あまりにも安易に過ぎ、無知過ぎ、ナイーブで自己中心的に過ぎると思う。
確かに保守の焦りはわかるのだが、ここで表現方法や事の運び方に一工夫を凝らさなければ、取り返しの付かない愚を犯す危険性もなきにしもあらずだ。
新年のご挨拶としては冷水を浴びせるようだが、どうも気になるので、一言申し添える。