ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

日本史は実におもしろい

櫻井よしこ日本よ、「歴史力」を磨け文春文庫2013年1月)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131029)は、一気に読めて実におもしろいです。何と言っても、二十代頃からの読書経験と周囲の知的動向にぴったり合致していて、一つ一つ思い当たる節があるのです。では、要約のみ並べてみることにいたしましょう。参考までに、過去ブログもどうぞ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131116)。
コミンテルンの策謀(p.20)
・日本は強く押せば後退する国(p.22)
・中国側の発するその時々のメッセージに一喜一憂してはならない(p.24)
・武力を使用することがなかった日本こそが、他のどの国よりも、歴史力、歴史の解釈力を活用しなければならない(p.35)
・「信念なき外交」こそ、根本から改めなければならない(p.37)
・「事実のもつ力」(p.40)
・「自分の頭と心で考え、感じ、物事を判断していくほどすばらしいことはない」(p.45)
・「英国の左翼出版社として、すでに定評のあるゴランツ書店」(p.49)「レフトブッククラブ」(左翼書籍倶楽部)(p.50)「ジョージ・オーウェル」(p.52)
・「世間知らずというか、物事を知らない御しやすい民族だと思われてしまっている」(p.61)
・「実事求是」(事実に基づいて真理を検証する)(p.61)
・「日本外務省のチャイナ・スクールと同じ精神構造」(p.69)
・「中国共産党が日本軍を打ち破り、中国国民を破った」という。「共産党が土地改革を行い、農民を解放した」という。(p.76)
・「世界は中国を中心に動いているのではない」(p.84)
・「社会主義の大きな特筆のひとつ」「誰も反対できない理想主義的な建前だけを、とうとうと述べ立てる。土地は人民のものに、税金は下げる….。マルクス主義は一面において大変に科学的な思想であるとともに、救済思想としての宗教的な力を備えています」(p.86)
・「今の中国の憲法には、国家に対する環境保護や自然保護の義務まで書き込まれています。しかし現実の中国は、地球を滅ぼそうとするのかと問いたくなるほどの環境破壊を続けています。文字どおりの意味で名目だけの憲法には、言論、表現の自由の保障も、立派に書き込まれていますが、憲法に保障されているその“自由”を文言通りに行使すれば、たちまち当局に捕らえられるのが現実です」(p.93)
・「中国人は、『中国における社会主義的人権を、欧米の人権と混同するのは誤りだ』と反論」「わが国は開発途上にあるのだから、欧米や日本のような人権を認めてしまうと、国が混乱する」(p.95)
・「中国に牢固とした事実軽視の伝統がある」(p.96)
・「社会主義幻想」が嘘を生んだ(p.96)
・「欺瞞によって、理想を追求するはずの社会主義が、嘘や捏造を積極的に許容する思想になってしまった」「古来より権力者の意向が法律や事実よりも重視される人治主義の国」「そこに、新たに共産主義による捏造体質が注入され、中国は”史上最悪の嘘つき国家”となってしまった」(p.97)
・「欧米でも、社会主義幻想は巨大な影響力」(p.99)
・「『戦勝国』側に巧みに居すわった独裁者スターリン毛沢東―だが、コミンテルンのさまざまな謀略の実態を今こそ解明すべきだ」(p.107)
・「コミンテルン(一九一九年にモスクワにおいて二十一カ国の代表が参加して設立)の謀略・策略」(p.109)
・「日本にはまだ左派やマスコミに毛沢東崇拝者がたくさん生き残っています」(p.110)
・「中国にいた宣教師の息子で、いわゆる『オールド・チャイナ・ハンズ』と称される中国シンパ」(p.111)
・「研究者への迫害がすごい」(p.112)
・「オックスフォードと古代史、哲学、美術研究という組み合わせは英国の諜報関係者には多い」(p.113)
・「ダーウィンの『進化論』に始まり、ルソーを経て、マルクスレーニンに至る『共産主義』の恐ろしさに世間はあまりに無知」「日本の敗戦と『亡国』の主因が『共産主義』であったと認識している日本人はあまりいません」(p.114)
・「中国は法律も約束も守らない、進化していく文明に追いつこうとしないで、怠惰な民族であるとさんざん書かれている。そして日本については、戦後教育を受けた日本の歴史に否定的な日本人には信じられないくらい賞賛」(p.118)
・「日本に対しては『日本が自己の古き伝統の価値を減ずることなく西洋の科学と技術を同化し西洋の標準を採用したる速度と完全性は遍く賞嘆せられたり』と絶賛」(p.118)
日中戦争に火を付けたのは中国共産党(p.125)
・「共産主義が、『人間とその思想は改造できる』という理想というか妄想の下に、多くの人々の人間性を破壊してきたことはもはや明白」(p.134)
・「学生運動を一生懸命やっていた人にマオイストが多くいることは事実」(p.134)
・「日本のエリートのなかにはおかしな『親中(共)派』がまだ大勢生きており、この手の親中派こそ危険なロマンチストそのもの」「近代機械文明にストレスを感じソ連の崩壊で自らが敗者となったので、その壊れたイメージを補いたいと思っている元左派の知識人が今の中国の経済成長に新たなユートピアを見ようとしている」「東アジア共同体」やODAを通じて「日本もそのお手伝いをしたい」(p.142)
・「近代化に対するルサンチマン」(p.142)
・「日本の判断を決定的に誤らせたのは、尾崎=ゾルゲ・グループをはじめとする、政権中枢に入った工作員たちによって国策が意図的に歪められ、謀略として捏造された情報によるところが大きかった」「戦後左派が全てひた隠しにしてきたこと」(pp.146-7)
・「北一輝は右翼ファシスト国家主義者というより、大雑把にいえば共産主義者」「私有財産制度を否定」「『天皇』を掲げるボルシェヴィキ」(p.148)
・「社会党ソ連から資金援助を受けていた事実」(p.155)
・「元共産党員でも、堂々と自民党に入って左派系議員として北朝鮮や中国を賛美する政治家」(p.155)
・「敵性浸透」「戦前日本の国家主義団体の多くにコミンテルン工作員が滑り込んでいて、このパターンは戦後も続いている」(p.155)
・「戦後流布されてきた『軍部の暴走が戦争を招いた』という戦争観は、間違いではないにしても、きわめて国内的な説明」(p.157)
・「あいつは言うことがコロコロ変わるから相手にしない」(p.160)
・「ファシズムやナチズム、コミュニズムは、いま考えるような圧政の代名詞ではなく、新しい時代を切り開く輝かしいものだというイメージ」(p.163)
・日本を狂わせた三つの思想:「アジア主義」「平和主義」「共産主義社会主義」(pp.164-165)
・「ルーズベルト政権の中枢には、コミンテルンのエージェントが要所要所に入り込み、日米開戦を促す策略」(p.168)
・「石垣綾子」「蒋介石」(pp.168-169)「都留重人」(p.174)「エドガー・スノー」(p.176)
・「大ざっぱに言ってマッカーシーの主張は正しかったのですが、告発の仕方のまずさにはたしかに問題がありました」「マスコミの関心をひくためにあまりにもセンセーショナルな手法やレトリックで、大切なことを一見『スキャンダル』風に仕立てた上に、パフォーマンスが非常に下手で、マスコミやインテリの反感を買ってしまった」(p.171)
・「デイリー・ワーカー」という共産党機関紙(p.172)
・「『マッカーシズムの犠牲者』というふれ込みで迫るメディアを利用した情報操作の罠に知識人ほど陥りやすく、また抜け出しにくい」(p.173)
・「トーマス・マンピカソマティス、ストラビンスキー、アインシュタインレナード・バーンスタイン……。こうした二十世紀を代表する文化人や芸術家が、実はコミンテルンの情報操作にもっとも弱かった」(p.174)
・「京都議定書で誰がもうけるかといえば、旧共産圏」(p.176)
コミンテルン中国共産党が仕掛けた西側メディアへの情報工作がいかに西側国民の世界像を歪め、現実とはまったく異なるデタラメを西側の知識人に信じこませる力を持っているか」「どうして『文化人』やジャーナリスト・芸術家たちはこれほど共産陣営の情報操作に弱いのか」(p.176)
・「戦前も、戦後も、そして現在も日本を取り巻く諜報環境は、世界でもちょっと例がないほど過酷」「中国、ロシア、アメリカ、南北朝鮮という世界史的なすれっからしの諜報大国が四囲をとりまいている」(p.179)
・「裏切り、内通、陰謀、それを防ぐための秘密の保持、暗号とその解読」(p.183)
・中国には二千年の昔に、諜報・謀略の教科書ともいうべき『孫子』(p.184)
・情報に対する感度を著しく落とす原因は二つ:「軍事力に自信を持ち過ぎること」「自分を弱者だと自覚していると、ウサギの耳のごとく、情報への感覚が研ぎ澄まされる」「『優等生的な発想』が大勢を占めるようになった時代には、情報感度が低下」「画一主義的な傾向が強くなると、インテリジェンスの質は低下」「霞が関やエリート大学を出た国会議員や自衛官が情報に関して初歩的なミスを繰り返す日本の現状」(p.186)
・「BND(ドイツの連邦情報局)が有名になったのは、一九六七年の第三次中東戦争の際にアラブの動きをアメリカよりも早くつかんでイスラエルに知らせたこと」「六五年の『インドネシア共産党事件』でも、中国がインドネシア共産党武装蜂起を起こさせようとしていたのをBNDが最初に察知して、CIAとともに未然に防いだ」(P.187)
・「アメリカが毛沢東に見事にしてやられる場面」「国交回復をめぐって毛沢東周恩来キッシンジャーと交渉」(p.190)
・「マルクス主義革命の理想が失われて、もうマルクス主義者は行き場がない」「だから、『反国家』が矮小化されて、『反日』的日本人となっていく」(p.195)
・「共産主義の本質は『諜報と謀略』」(p.196)
・「左翼的反日自虐史観や今流行の反原発ムードに痺れているわが国の一部歴史マニア」「共通の特徴は、邦語文献のみに固執し、外国語文献にまで視野を広げようとしないこと」(p.202)
・「明治時代に中江兆民ルソーの思想を紹介」(p.202)
・「二〇〇〇年十月には、『アーミテージ報告書』:今後アジアにおいてアメリカはどの国と結んで秩序を維持すべきかという問いかけに、それは間違いなく日本であると言い、日本が集団的自衛権行使など国家の独立に関わる問題をクリアして普通の国』をめざすことで、日米関係はより強固になっていくというもの」(p.230)
・「日独の戦争の性質がこれほどまでに異なっている」「日独を安易に同一視し比較する人々が東アジアのみならず、欧米諸国にも少なからず存在」(p.239)
・「東京裁判に関する限り、中国、韓国は明らかに近代以前の発想」「近代法では、一度合意に達して契約を結べば、過去は振り返らないのが大原則」(p.242)
・「日本人だけが発展した」「自分たちは日本人より劣っているのではないかというアイデンティティ危機」「日本は、敗戦国にもかかわらず経済成長を遂げて世界第二の経済大国になった」「悔い返し」(pp.242-243)
・フランスでベストセラーになった『共産主義黒書』(ステファヌ・クルトワ、ニコラ・ヴェルト著、外川継男訳、恵雅堂出版):死者の概数 ソ連:二千万人 中国:六千五百万人 ベトナム:百万人 北朝鮮:二百万人 カンボジア:二百万人 東欧:十五万人 南米:十五万人 アフリカ:百七十万人 アフガニスタン:百五十万人(p.246)
・「知識人が共産圏に抱いていた『正義』の幻想が崩れ始めた」(p.249)
・「相手がアメリカなら強く批判するが、共産主義国家であれば同じ軍事行為でも批判せずに遠慮するというダブル・スタンダードを使ってしまう」(p.250)
・「国際社会に対する無知」「自分たちの希望的観測で相手国の行動を予測するばかりで、相手国の実情にはまるで無知だった」(p.252)
アメリカの場合は、二つの方法論で対処:「どんな酷い独裁政権であれ、アメリカの利益になれば−昔なら反共政権であれば−とにかく支持するという、リアル・ポリティクス」「アメリカ的価値観に合致しない政権はいろいろ苛めて、あわよくば転覆させてしまおうという積極的な干渉政策」(p.254)
・「アウシュヴィッツにおけるユダヤ人らの犠牲者数は四百万人というのが長い間の定説」「冷戦後にポーランド民主化した後、研究者たちが正確な数字を検証したところ約百五十万人という数字に落ち着き、議論はあったものの今日では広く認知」(p.258)
・「ポストモダンなるものが現れて、『物語』を批判」「相対主義の消しゴムで、どんな『物語』も消してしまえる」(p.265)
・「近隣諸国の仕掛けている、情報戦・心理戦を含めた『戦争』に対応するには歴史や国際法についての正確な知識が必要であることは言うまでもない。しかし、何より必要なのは、独立の気概を持つことではないか」(p.267)
・「朝日新聞」の嘘:戦前は軍部に、戦後は左翼全体主義国家に迎合した事実(p.269)
・「朝日の中でも緒方竹虎や私の父、佐々弘雄のような自由主義の立場から軍部に抵抗していた人々は、『戦争を止められなかった自分たちには戦争責任がある』といって、朝日新聞を去って」(p.272)
・「日本の最大の不幸は、日本の良識のような顔をしている朝日新聞が、戦後は左翼の偏頗なイデオロギーに加担して、歴史の節目節目で、一見もっともらしいけれどもその実、国民を誤らせる主張をしてきたこと」「全面講和」「日米安保反対、文化大革命学生運動にも『理解』」「自衛隊反対」「憲法(九条)改正反対」(pp.283-284)
・「朝日に洗脳された擬似インテリ家庭は多い」「複数の見方に接することが大事」(p.284)
・「朝日新聞同様に、左翼勢力が戦前の遺産を略取したのが岩波書店」「岩波茂雄の時代に築いたよき権威を、戦後の左翼が大いに利用」(p.285)
・「私『I』で語らず、私たち『WE』に逃げてしまう」(p.294)
・「今の朝日は、自分たちの誤りを率直に認めない誤報、虚報に関して、その説明責任から逃げようとする」(p.296)
・「帝国主義の時代、非西洋の国でありながら唯一独立を守り通した明治日本の先人の努力をありがたく感じている。坂の上の雲』が広く愛読されたのはその国民的共感のあらわれ」(p.299)
文化的無国籍主義の日本語人とちがって、日本人としてのアイデンティティーを大事にすることが良き国際人の基礎を養成する(p.299)
・『五箇条ノ御誓文』:「智識ヺ世界二求メ、大二皇基ヺ振起スベシ」という開かれた精神(p.300)
・「アメリカはすでに冷戦が終わったと認識していて、次は中東問題だ、と軸足を変えてしまった。ここにねじれの一因」(p.303)
・「お色直しした共産主義運動」「社会を解体したい、すなわち革命運動をやりたい人たち」「筆致や言葉遣い、論理からして一発で分かります」「匂いで分かりますよ」「東アジア共同体構想」「『国境を越えるアジア史の構築を』と叫ぶ“ボーダーレス史観”なるものの称揚」「“学者”と称する党官僚や工作員」「全く知的な対話にはなり得ない」(p.311)
・「実は姿を変えて、政界、マスコミ、経済界、学界と社会の随所に広く深く拡散し浸透」(p.312)
・中国側が大江健三郎(一九三五−)、丸山真男(一九一四−九六)らを高く評価。南原繁(一八八九−一九七四)(p.318)
・「ライシャワー研究所でも現在の主流は完全にレフト寄りに偏ってしまった」(p.328)
・知的信念に立脚していない知識人ほど、今後予想される中国など外部からの情報操作や誘惑に対して最も脆弱な存在になりうる(p.332)
・「大学を牛耳る左翼シンパ」「大学の赤化」(p.334)
・「『左傾化』する日本人の考え方」「左派知識人の系譜として、より正義の立場に立ちたがる伝統」「知識人の良い子合戦」(p.336)
・「教養もお寒い」「いつの間にか日本も盧武鉉政権下の韓国のようになってしまうこともありえることになる」「韓国ほど組織だって革新派が学会を席捲しているわけではない」「一見、イデオロギー的に無色中立な『学問的常識』となって、今の研究者たちの頭の中に定着してしまっている。本人たちは中立のつもりでいても、実は左に偏っている」(p.337)
・「反共とか保守とか右派とか呼ばれるものへの反感や違和感だけが、戦後思想の実体だった、ということ」「研究対象を選ぶ段になると、学会での地位や就職が絡みますからナーバスにならざるをえない」(p.340)
・「このまま大学、知識人社会の腐敗、歪みを放置しておいたら」「一般の日本人に向って『こんな大学ばかりでいいんですか』と問いたい」(p.341)
・「左派の知識人は概してしぶとい」「現実の世界は明らかに彼らの思想を否定しているのに、彼らは間違いを暴露されても全く動じない」「言い訳して切り抜けようとする。これは共産主義タイプに共通する性質」「アメリカの共産党の例」「マッカーシズムが起きる前から、党員達は『おまえ共産主義だろう』と言われた時に、どうやってシラを切って否定しつづけるかという特別な訓練を受けて」いた(p.344)
・「左派の知識人が間違っているからといって、彼らをパージしようと考えるのは間違い」「知識人を相手に絶対に権力的に対応してはいけない。時間はかかるが、議論を通じて一掃してゆくことが大切」(p.345)
・「大学に左派勢力が蔓延しているからといって権力でもって圧倒してはいけない。これは大切な歴史の教訓」(p.346)
・「岩波書店『世界』とゴランツ『レフトブッククラブ』」「知識人の動員」「コミンテルンに源を持つ共産主義国家」(p.346)
・「日本国内に孔子学院(中国語の教育機関)を設立」「各大学に中国研究センターの類が非常に増えて」「文書に書かれている戦略そのもの」(p.348)
・「『公正中立』を装うための道具としての容共知識人」「岩波書店のような左派系知識人のおかしな言論出版に力を注いだ出版社」(p.354)
・「すでに共産主義に未来がないと気づいていた」「左翼的な書物が売れると判断したこと」「コミンテルンなどからの学閥や人脈を利用した働きかけが巧みだった」「ある種のニヒリズムというか、名門貴族のはねっ返り娘だとか裕福なユダヤ系移民の子といった社会的な不満を持った人々が集まって、特に信じてもいないマルクス主義運動にまで加担していく大きな構図があった」「虚無的で反権力至上主義的といってもよい情緒的な姿勢」「日本のマスコミやインテリたちが今だにどうして左派的な思想を捨てることができないのか」(p.356)
・「中国に進出した日本企業がどんなに悲惨な目に遭っているか」(p.357)
・「情報が出てきた時に、必ずその背景は何かと疑う、『この報道の動機はどこにあるのか』と考えることが大事」「さまざまな可能性を考えつつ、情報を深く分析する必要がある」「インテリジェンス感覚をもって物を見る力をつけると、日本の言論レベルは格段に向上する」(p.360)
・「知識人やジャーナリストはその情報の質によって、常に影響を受けていることを自覚」(p.363)
・「戦後の知識人文化を理解する上で、もうひとつ重要な要素は、特定の集団につながるクリスチャン人脈」(p.368)
・「昭和十年代に流行した様々な東亜共同体論から最近の東アジア共同体に至るアンチ・アングロサクソンを含意する議論のいかがわしさ、危険性」(p.369)
・「韓国が自由主義陣営の枠を飛び出し、反日国家として日本に敵対してきたのも、冷戦の思考枠では考えられないこと」「民族の行動パターンとその政治行動が研究の主流になる」(p.370)
・「自由や人権、人道を重視し、守ってきた日本は、本来、米欧諸国と価値観において齟齬を来す国ではないはずだ」(p.372)

(部分抜粋終)

何だか、学部生時代に習った「漢意」「大和心」を思い出す。
上記書を読んだ後に、キリスト教史学会から会報が届き、アジアとの関わりを考察する上で、これまで何となくもやもやしていたものが、ようやく明確になった。確かに、私が名古屋で受けてきた教育や生育環境や家系から考えてみて、頭では「開かれた」つもりでも、心がついていけないというのか、経験と資料という事実に基づいて発表しているのに、なぜここまで自分が押さえつけられ、歪められて、人生行路に迷わなければならないのか、長らく不思議だった。基本としては、現象面で反応するのではなく、憲法や国家原理などの基本を知識として掌握した上で、現象を冷静に分析すべきだろうと思う。そして、特に研究して生計を立てようとは最初から考えてもいなかったのだから、今のまま、淡々と自分の好奇心の赴くままに、ライフワークとしてのテーマをある程度まとめる方向で作業を進めつつも、幅広く勉強したいものに精力を注ぐ暮らしを大切にしたいと願う。
櫻井よしこさんの書かれたものの中で目を引いたのが、「左派の人達は英語など外国文献を読んでない」という下り。つまり、日本語文献のみに従って主張を展開しているということ。これは非常に危険だ。同時に、その裏返しとして、話者数から明らかにマイナーな少数言語を習得して、得意気に自分の専門領域とする視野の狭い人達もいる。いずれも左派に目立つ傾向だ。是非ともここで軌道修正していただければと願うものである。