ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

「取り扱い注意マーク」

最近のちょっとした文化摩擦および個性のぶつかり合いからの雑感メモ。
1.「明治維新」は「明治革命」ではない:伝統強調+西洋的要素(欧州の各得意面を選択吸収して消化し創造)= 非西洋世界で初の近代化成功を遂げた独自の「日本」
← 列強に植民地化されなかったことを誇りにしているタイ人の気持ちを踏まえた上で、日本の場合は遙かにそれを上回る強固さおよび柔軟さおよび幅広さと深さを兼ね添えた土台とオリジナリティを古来から有する
グローバル化で無国境文化や無国籍混淆文化が蔓延する今、独自性および自立性を固持した日本には圧倒的な強みと魅力がある
2.「真珠湾攻撃」を合い言葉に、日本が米国より上位に立とうとすることを牽制する風潮。しかし、これは米国の現行の「公式見解」を敷衍しているに過ぎず、歴史プロパーおよび公文書の公開などによって、既に修正見解が展開されている状況をどう捉えるか。
3.BBCなど国際的な各種の世論調査によれば、好感度および影響力において日本は十年ほど世界のトップ5位内に位置し、しばしば米国を上回る。軍事的経済的な強度よりも「ソフト・パワー」の方が上位を占める世論。
4.日本に対する混乱および矛盾した態度 →「日本」事例を自分中心に都合良く利用し、軽く扱っている。
(1)非対称的同盟関係の米国+アジア地域における戦略的リーダーとしての日本 → 価値(自由・民主主義・法の支配・資本主義経済など)を共有する関係・生活水準も中間層はほぼ同等・超大国アメリカによる壊滅的な戦時打撃を受けた後、懸命な経済復興で次点を長らく保持
(2)国の成り立ち:米国(土着インディアン+移民系(迫害および頭脳流出)+奴隷の子孫)vs. 日本(大和民族で均質度が高い固有の風土)→ 歴史は日本の方が遙かに長く、天皇(大君)を中心に安定した一大家族圏を持続・米国留学組は大半が日本に帰国して昇進・米国に移住したり留まりたい日本人は個別事由
(3)国民意識:米国(圧倒的な軍事力と政治経済的な影響力を持つ一神教を建前とした世俗社会)vs. 日本(誇り高い伝統+敗戦国としての意識持続+左傾化によって弱体化+非一神教的な宗教風土)
(4)基本的に米国人は日本を深くは知らない。日本人も米国の本質や国家原理を知っているようで知らない。しかし、人的経済的交流は盛んで自由な情報往来の蓄積がある

・物を知らない(ように見える)大衆向けのアピール:七光りおよび組織維持の大変さ
・自分が「敵」と見なして非難し続けている対象の昔の先輩や同僚の「知識人」達が、最近に至るまで何回も来日講演に招かれたり、邦訳出版を積み重ねていたことをご存じないようだ。それは日本人の無知のせいではなく、日本側の需要に合致しているという事情からである。米国から見て日本は、国土の広さや人口サイズや個人としての能力の卓越性の点で、大したことのない国であることは確かであり、日本が米国の「脅威」になることさえあり得ないが、人脈連携は各需要によって決まるのであり、優劣や上下関係や主張の当否や所属する国力あるいは「己の正しさ」によってではない。
・迫害されたユダヤ人が米国などに移住するのを日本が僅かながらもお助けした経緯+アジアの中で真っ先に日本が建国されたばかりのイスラエルと国交を樹立→ユダヤアメリカ人二世にしては、日本を「耐えられない軽さの存在」(ミラン・クンデラ)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090313)として扱っていないか?現代の一般の日本人には、顕著な反セム主義や反米感情がないはず。日本にはいろいろな流れがあるが、強固な反米の人々は、偏ったイデオロギーの持ち主か米国によって直接の被害を受けた場合で、反イスラエルは無知蒙昧から。日米関係のピーク時に日本で短期間過ごしながらも、主権国家としての日本をあまりにも低く見なして、「相手に合わせる」ことを怠ってはいないか?それなのに、アメリカやカナダやオーストラリアでの言論活動では「日本で調査した」と見当違いの発言を繰り返してきた上、10年前に本を書くのを止めたと言いつつ、「1980年代半ばにあまりにも多くの反米感情を感じた」という日本で、今でも著作を出版したいという願望を表明。

>きっと需要が少ないので、今の出版界では難しいでしょう。

・中東やイスラームの非専門であっても、自慢げに引用する「高度な」英文書や独文書や仏文書に対しても、日本にはこれだけの邦訳書が昔も今も出ている。日本の中東理解やイスラーム圏との交流は、アメリカに沿いつつも独自に行動し、国際評価も相応にいただいている。(日本では、地方在住で平凡な一般主婦でも、その程度の英語「原書」は普通に読める。)

>氏は、アメリカのオピニオンリーダーでもないでしょうから、聞き流しましょう。

・一時期は米国内で権力に接近して多少の影響力を及ぼそうとした方の歩みを振り返るのも、日本にとって、特に若い世代にとっては、ちょっとした参照例にでもなるか。
・オーストラリアやイスラエルやフランスなどでの海外講演は、どうも現地感覚とは合わない発言だったのではないか。オスロ合意について、アメリカで強気の発言を繰り返したとしても、それは逆にアメリカという国に傷をつけていることになる。
・共産時代と反ユダヤ主義を踏まえつつも、日本とポーランドが長らく友好関係にあり、特にポーランド人に親日感情があるとお伝えしたところ、「知らなかった」と。
・「EUパスポートを持っているんだ」と誇示したかったようだが、残念ながら、日米関係よりも欧州と日本の関係の方が、君主制度や文化伝統や民族の核となる表現に共通項が多いために交流史が長く、欧州の日本理解もアメリカ人より深くて正確だという史的事実および個人経験をネイティブ日本人から説明されて、「敵愾心」と感じたらしい。随分物の見方が偏っているというのか、あまりにも中東ムスリム世界に没頭し過ぎているのか。
・逆に言えば、「土地なき離散の民」で‘Luftmensch’としての「彷徨える」ユダヤ人の生き方が、これで明らかになったということ。だからこそ、「やはりユダヤ人は自分の国を持った方がよい」と考えてシオニズムに賛同し、できるところで協力したいと思ったのだが。

>彼は本当にユダヤ教徒として生きているんですか。妙に戦闘的ですね。

アメリカで生きるには、「宗教なし」では「論争に勝てない」と書いてあった一文が全てを反映している。
・冷戦を米国が「勝利」したという意識が非常に強く、ロシア内部の状況を軽視する傾向がある。同じ論法でイスラーム世界にも対峙しようとしたようだが、その破綻と危険性は、既に表れている。
・なぜ、日本人がムスリムや中東人と比較されなければならないのか?違いは明らか。日本文化を本当に「称賛」しているつもりなのかもしれないが、ポイントは日本人側にそれが伝わっていないこと。現代のアメリカ人学者なら、日本を理解しているのは多分、ドナルド・キーンユダヤイスラエル人の中にも、現代の日本文化の本質をつかむのが上手な方もいらっしゃる。
・日本はアメリカの軍事力と寛大な援助のお陰で、戦後何十年も平和と繁栄を維持してきたが、もうそろそろ大人らしく、自立した振る舞いをしてもよい頃ではないか。この度、保守派アメリカ人の指導層が、中国よりも日本をアジアのリーダーとして選んでくださった。また、アメリカ人の8割が、アジアでは日米関係を最重要のパートナーと考えているらしい。一体全体、何が不満だというので、一等国としての意識を自他共に有する日本が独自の軍事力を保持しようとすることを揶揄する文章を公表するのか。
・我々日本人は、アメリカ外交のために地政学的戦略から「お世辞を言われる」ために生きているのではない。
・国文学専攻の1980年代の学生時代に、さまざまな日本人論なるものに目を通したが、すべて安っぽい読み物だと感じた。日常生活で我々が普通に行っていることを、なぜ日本を知らないアメリカ人からわざわざ「好意の証」として示されなければならないのか?我々は檻の中に入った動物園の動物ではない。見世物ではないのだ。
・さまざまな分野の多くのアメリカ人学者が来日されたが、一度も反米感情や文化摩擦があったとは聞いたことがない。我々はいつでもアメリカからの訪問者や学者を歓迎する。
・なぜ良好で誠心誠意の日米関係が、歪んだ私情や個人的な怨念のようなもので悪化しなければならないのか?